スタディプラス株式会社(本社:東京都千代田区)は、大学受験生の2人に1人が利用している学習管理アプリ「Studyplus(スタディプラス)」、1,700校以上の教育機関で導入されている学習管理プラットフォーム「Studyplus for School(スタディプラス・フォー・スクール)」を開発・運営しているEdTech企業である。「Studyplus」の累計会員数は現在800万人を超え(2023年6月時点)、アプリレビューは平均4.5以上。Google Play ベストアプリに2年連続で選出されたほか、日本e-Learning大賞(最優秀賞)を受賞するなど、高い評価を獲得している。また、教育機関向けのSaaSである「Studyplus for School」は、生徒が利用する「Studyplus」と連携して活用されており、2022年度からは大手予備校の河合塾にも導入されている。国内外を問わずさまざまなサービスが登場し、EdTech領域の競争が激化しているなか、同社のサービスはなぜユーザーから選ばれているのだろうか。本稿では、創業者の廣瀬氏の生い立ちや創業の想い、これまでの軌跡へと迫り、その秘密を紐解いていきたい。

※EdTech(エドテック):Education(教育) × Technology(テクノロジー)

スタディプラス株式会社 代表取締役 廣瀬 高志さん大学受験生の2人に1人が利用する学習管理アプリ「Studyplus」。

弊社は高校生をメインユーザーとした学習管理アプリ「Studyplus」と、塾や学校などの教育機関向け学習管理プラットフォーム「Studyplus for School」を開発・運営しています。いずれのサービスも、「学習記録」×「コミュニケーション」を基本コンセプト としたプラットフォームです。 たとえば「Studyplus」の代表的な機能として、学習者の勉強時間と勉強量(何時間、どの教材の何ページから何ページまでを学習したのか)を教材別に記録する機能 があります。ユーザーが入力した情報は、月・週・日ごとに自動でグラフ化されるため、学習の進捗状況を一目で確認することができます。その効果は、学習の課題を見つけやすくなったり、勉強量の蓄積を目で見て振り返ることができます。 「学習成果を伸ばしたい」「勉強を継続させたい」など、日々の勉強に課題を抱える多くのユーザーの悩みを解決しています。また、「Studyplus」には多くの勉強熱心なユーザーが集まっています。SNS機能 により、志望校合格や資格取得など、同じ目標をめざす仲間と、オンラインでのコミュニケーションが可能です。たとえば、仲間が投稿した勉強記録に「いいね」を押したり、コメントをつけたり。ユーザー同士が励まし合い、切磋琢磨し合うことで、学習を続けるためのモチベーションが保てるのです。一方の「Studyplus for School」は、塾や予備校、学校など、教育機関向けのSaaSです。先生方は生徒が「Studyplus」でつけた学習記録をダッシュボードで閲覧し、「いいね」を押したりコメントをつけたり、オンラインによる適切な学習支援ができる仕組みとなっています。このように、「学習記録」と「コミュニケーション」を掛け合わせ、学習者のモチベーションや成績の向上を支援できるプラットフォームは、「Studyplus」ならではのユニークな特徴です。サービスの利用は、基本的には無料(学習者向けに一部の機能を有料で提供しています)。一方で、「受験生」という特徴的なターゲット層にアクセスできる広告メディアとして、大学法人を中心とした広告出稿をはじめ、教育機関向けのデジタルマーケティングを総合的に支援することでマネタイズを行っています。

スタディプラス株式会社 代表取締役 廣瀬 高志さん将来の夢は社長になること!小学生の頃から経営者に憧れていた。

私は幼い頃から、「将来は社長になりたい」と公言しているような子どもでした。小学1年生の頃の七夕の短冊にも、そうハッキリと書いていました 。両親がリクルートで働いていたことも、少しは影響していたかもしれません。「お金持ちを目指すなら、社長になるのが一番だぞ!」…父からそう教えられ、いつしか経営者に憧れを抱くようになったのです。社長になれば、たとえ自分に出来ないことがあっても、仲間を集めて大きな夢を実現できる…。当時から、そんなイメージを持っていました。生まれは東京の永福町、4歳下に弟がいます。国立にある小中高一貫校の桐朋学園に、小学校から通っていました。子ども時代は武蔵野の自然豊かな環境のもと、サッカーやバスケ、木登りや鬼ごっこなど、友達と泥んこになって遊んでいましたね。足の速さには自信があり、学年で一番でした。小6の運動会のリレーではアンカーを任され、他の選手を抜いて一位でゴールしたのはいい思い出です。

中高時代は部活に没頭。学校でいちばん厳しいバスケ部に入った。

中高時代はバスケ部に入り、部活漬けの毎日を過ごしていました。顧問は、一部界隈では有名な 金田伸夫先生(東芝の実業団チームを経て桐朋高校の教師に着任され、初心者ばかりだったバスケ部を全国有数の強豪チームへと導いた名監督です)。その指導や練習の厳しさは、きっとご想像いただけると思います(笑)。バスケ部時代の私は監督から怒られてばかりで、多くの挫折を味わっていました。どんなに厳しい練習に耐えても、思うように上達しない…。活躍できない…。当時を振り返ると、楽しかった思い出より、辛かった記憶のほうが圧倒的に多いですね。

第二次ネットバブル期、時代の寵児と呼ばれたIT経営者に憧れる。

私が高校時代を過ごした2003~2005年は、ITバブル崩壊後、いわゆる「第二次ネットバブル」と呼ばれた時期でした。インターネット関連企業の株価が軒並み上昇し、楽天の三木谷さんやサイバーエージェントの藤田さん、元ライブドアの堀江さんなど、著名なIT起業家たちが世間の注目を集めていました。ちなみに「ヒルズ族」という言葉が生まれたのも、ライブドアによるフジテレビの買収騒動が盛んに報道されていたのも、私が高校生の頃でした。彼らのような経営者に憧れていた当時の私は、ビジネス書や自己啓発本をたくさん読んでいました。なかでも『渋谷ではたらく社長の告白(著者:藤田晋)』『100億稼ぐ仕事術(著者:堀江貴文)』の2冊は、夢中になって読んだ記憶があります。

青年時代に抱いた違和感が、事業を生み出す原体験になった。

私には、学習支援サービスを立ち上げるに至った原体験がいくつかあります。その一つは、私が大学受験で 浪人して予備校に通うようになってから味わった違和感からです。 当時の予備校の授業は、時間割に沿って先生の一方的な講義が行われるだけ。「授業」が中心で授業以外のサポートがなかった のです。民間の教育サービスは本来、生徒の成績を上げ、志望校に合格させるために存在しているはずです。たとえば生徒の勉強に対するモチベーションを高めたり、学習計画を一緒に立てたり、授業以外のサポートがあれば、予備校に期待される目的である「志望校合格」に近づくのに、と思っていました。

東大受験に挑戦!後の人生を変えてくれた「学習記録ノート」との出逢い。

私が所属していたバスケ部の先輩に、「東大トップ合格」という偉業を成し遂げた天才的な先輩がいました。彼によれば、合格するための学習の秘訣は、日々の「勉強記録ノート」をつける習慣にあると言うのです。具体的には、どの教材を何時間、何ページ学習したのかを毎日記録し、それをグラフ化するというものでした。東大合格を目指していた私は、さっそく彼の教えを実行しました。すると…すぐに意外な効果を実感したのです。学習した内容を記録・グラフ化するというシンプルな取り組みは、勉強の進捗や課題を正確に把握するうえで大いに役立ちました。たとえば学習記録をもとに、不足している科目の勉強時間を増やしたり、色分けされた学習記録を振り返ることでモチベーションが上がったり…。このときの感動が、後に「Studyplus」の誕生へと繋がっていきます。ちなみに私の現役時代の大学受験は、無謀にも東大一本の受験に懸け、あえなく浪人となりました(笑)。当時は東大文科二類(経済学部)に進んで、経営を学びたいと思っていたのです。予備校時代には模試で東大A判定を取ったこともありましたが、残念ながら念願叶わず、慶應の法学部に進むことになりました。

スタディプラス株式会社 代表取締役 廣瀬 高志さん大学1年生、授業も出ずにベンチャーのインターンにコミットする。

私は大学1年生の春からベンチャーのインターンに参加し、毎日スーツを着てフルタイムで働いていました。大学進学が1年遅れたこともあり、とにかく誰よりも早く成長したい、ビジネススキルを身につけたいと思っていたのです。当時は完全に仕事中心の生活で、ほとんど大学には行きませんでした。私が担っていたのは、フリーペーパーの広告営業の仕事です。その会社では、インターンの学生たちが中心となって営業活動を行っていました。アポ取得から提案、クロージング、成約まで、営業フローのすべてを1人で担っていました。そう簡単に売れる商材ではありませんが、運良く受注できたり、創意工夫を重ねたりするのは非常に面白い経験でした。インターンの仕事にはのめり込んでいた 一方で、授業にはほとんど出ておらず、単位は6割くらいしか取れていなかったです。

人生最大の転機!就活中に応募したビジネスコンテストで優勝する。

大学3年の夏になると、私は周囲と同じく就職活動を始めました。いつか自分で起業するなら、ITを使った「何か」にしよう…。その一点だけは決めていたので、基本的にはIT業界への就職を考えていました。そんな折、就活生向けに配信されたメーリングリストのなかで、一通の案内が目に留まりました。それは、ネットプライスドットコム(現BEENOS)というIT企業が主催する、学生向けのビジネスコンテストの募集でした。なんだか面白そうだな…。当時の私にはすぐに起業する意思はなく、具体的なビジネスアイデアもありませんでした。それでも興味を惹かれたので、ビジネスプランを初めて企画してみたのです。2010年3月、私が提出したプランが、まさかの「優秀賞」を受賞しました。その内容は、「生徒の学習記録を活用できるソフトウェアを持った家庭教師会社」というプランでした。まさに、弊社サービスの原型となるアイデアです。一般的に、家庭教師が生徒の家に来るのは週に1回程度ですよね。一方で、生徒が学習成果を上げるためには、次に教師が来る日までの家庭学習が鍵になります。そこで、生徒は毎日の学習記録をソフトウェア上に記録し、教師がそれを閲覧できる仕組みを考案したのです。そこに、オンラインのコミュニケーションを通じて、生徒への的確なアドバイスやサポートを提供できる機能も追加しました。このアイデアで「優秀賞」を受賞した私は、副賞としてネットプライスが運営する渋谷のインキュベーションオフィス『Netprice Spot Tokyo』を、1年間無料で使用できる権利をいただきました。

スタディプラス株式会社 代表取締役 廣瀬 高志さん大学4年生。就活を投げ出し、勢いで起業する。

2010年5月、私はインキュベーションオフィスを本社所在地として登記し、会社を設立しました。後日談ですが、実は私が参加したビジネスコンテストは第5回目の開催で、優秀賞は私が初めての受賞者でした。過去に一度も受賞者がいなかったこと、さらに当時の東証マザーズ上場企業のネットプライスドットコムの佐藤社長にビジネスプランを褒めて いただいたことで、私は就職活動を辞め、勢いで起業してしまったのです。

当時の私が企画したビジネスプランは、自身の原体験から生まれたものです。高校生のときに日々の学習記録をつけるようになり、その効果を自ら実感したこと。これが、「学習支援」をコンセプトに起業を考えた原点になっています。また、私が通っていた高校は進学校だったので、誰もが当然のように受験勉強に励んでいました。一緒に東大を目指していた友人と、当時よく話していたことがあります。それは、「受験勉強において何がいちばん大事か」という話題でした。お互いの意見が一致したのは、「結局はモチベーションが鍵」という結論でした。偏差値は、基本的には勉強時間に比例して上がるものである以上、いかにモチベーションを維持して勉強時間を増やしていけるか…。結局のところ、それに尽きると思っていたのです。

ユーザーの声が、教育におけるコミュニケーションの重要性に気づかせてくれた。

2011年3月、弊社は「Studyplus」の原型となる学習継続支援サービス「studylog(スタディログ)」をリリースしました。これは、私がコンテストで受賞したプランをもとに、ユーザーの学習記録がつけられる機能を具体的に形にしたものでした。しかし、リリースしてまもなく、ユーザーからの貴重な声が寄せられました。それは、「せっかく勉強を頑張っている人が集まっているのだから、ユーザー同士で交流できる機能が欲しい」「他のユーザーの勉強時間や内容を知りたい」…という、現役受験生からの要望でした。時はちょうど、日本においてスマホやSNSが普及し始めた頃でした。これを機に、すぐにサービスのピボットを決断し、翌年3月にはSNS機能を付帯した「Studyplus」が誕生しました。ユーザーは、勉強仲間と「いいね」やコメントを送り合ったり、ライバルがリアルタイムで勉強している様子をタイムラインで確認できたり…。このようなオンライン上の繋がりが、ときには自分を勇気づけ、ときには自分を奮起させてくれる…。学習者にとって、他者とのコミュニケーションが勉強のモチベーションに大きく影響するということに、ユーザーの声のおかげで気がつくことができました。

スタディプラス株式会社 代表取締役 廣瀬 高志さん売上が立たない…。創業から6年間、経営者としての苦悩が続いた。

創業から約6年間は、ほとんど売上が立たない状態が続いていました。毎年資金調達をして、なんとか運営していました。「Studyplus」は大学受験生をメインターゲットとしたプロダクトのため、高校生の母数が限られている以上、ユーザー数の急激な増加は期待できません。当時は広告出稿を希望する企業もなく、マネタイズに苦戦しました。なんだかまるで、出口のないトンネルを走っているかのような感覚でしたね。一方で、プロダクトの価値については当初から手応えがありました。サービスをリリースした直後には、「おかげで勉強が続くようになった!」「成績が伸びた!」など、ユーザーからの感謝の声が数多く寄せられていたのです。このサービスが世の中に求められていることは間違いない…。とはいえ、それをビジネスとしてちゃんと収益化できるか 否かについては、確信が持てない日々が続いていました。もしかして、これは自分の趣味なのだろうか。このまま単なるボランティアに終わってしまうのか。内心では、そんな不安も抱えながら、会社の経営をしていました。それでもユーザー数が伸びていることが、一縷の望みだったのです。事実、高校生の間にスマホが普及し始めた時期と重なり、ユーザー数はジワジワと増えていました。「Studyplus」を愛用してくれるユーザーのために、とにかく良いプロダクトをつくろう。当時はこの一点に集中していました。ようやく潮目が変わり始めたのは2016年、「Studyplus」の累計会員数が100万人を突破した頃でした。このときから、大学法人を中心に広告出稿を希望するお客様が増え、事業が軌道に乗り始めました。信じて続けてきて本当に良かった!その喜びには、やはり格別なものがありました。マネタイズができない状態が続いた期間、弊社のプロダクトの価値やポジショニングを変わらずご評価いただき、温かく見守ってくださった投資家の方々にも心から感謝しています。

2016年から急成長!ポテンシャルの高いマーケットを牽引していく存在へ。

おかげさまで2016年以降は、事業を大きく成長させることができました。それでも、マーケットのポテンシャルを考えれば、まだまだ大きな伸びしろがあります。 昨今は特に、大学法人の広告出稿ニーズが増加しています。少子化が進んでいる今、いかに大学のブランド認知を高め、多くの学生を集めることができるかは、あらゆる大学法人にとっての経営課題です。教育機関が採用する広告手法も、その効果を計測しやすいデジタルマーケティングへと移行が進んでいます。そのなかでも、「Studyplus」に集まるユーザーは「受験生」のため、大学法人 がアクセスしたいターゲット層のまさにド真ん中です。「Studyplus」のユーザーは、会員登録時に高校名や学年、志望大学・学部など、自身の属性を入力しています。これにより、教育機関が求めるターゲットに対してピンポイントで高校配信ができ、データを活かした効果的なデジタルマーケティングを実行できることが、弊社ならではの強みです。

スタディプラス株式会社 代表取締役 廣瀬 高志さん「学習記録」×「コミュニケーション」を、すべての教育現場のスタンダードに。

私たちは「学習者の支援」にこそ、教育の本質があると考えています。その学習者が抱える悩みにおいて、「学習の継続が難しい」という点は、最大とも言える課題となっています。これを解決するためには、学習者のモチベーションに作用するような「コミュニケーション」の機会を創出することが重要になります。昨今では、塾や予備校、英語スクールなどの教育ビジネスにおいても、「ティーチング」から「コーチング」へと、先生の役割が変化しています。つまり、講師による授業 も重要ですが、同時に目標管理や動機付けなど、生徒のモチベーションを維持・向上させるようなコミュニケーションも、併せて重要になってきています。

現状はまだ、各社のコンテンツ毎に人々の学習記録が散在しており、これは学習者・教育者のいずれにとっても不便な環境です。弊社はそれらの学習記録を「Studyplus」上で一元化し、学習記録の活用を促進したいと考えています。そして、将来的には「学習記録」×「コミュニケ―ション」を、すべての教育現場のスタンダードにしていきたい と考えています。

創業から10数年を経て、いま考えていること。

23歳で会社を創業してから、気づけば13年の月日が経ちました。そのわりに、自分が経営者としてようやく手応えを感じられるようになったのは、創業から10年が経った頃…つまり、ごく最近のことです。事業を継続するなかで、私なりに見えて来た視点はもちろんあります。しかし、ソフトバンクの孫さんやユニクロの柳井さん、日本電産(現ニデック)の永守さんをはじめ、日本には40~50年に及ぶ会社経営を通じて、社会を築いてきた凄まじい経営者の方々がいらっしゃいます。そのような一流の方々の存在を思うと、私などまだ足元にも及びません。これから少しでも彼らに近づいていけるよう、精進していきたいと思っています。

 

◆ 編集後記 ◆

今回の取材は、千代田区神田駿河台にあるスタディプラス株式会社の本社オフィスに伺った。この界隈は多くの学校法人が拠点を構える地域であり、同社オフィスの隣には駿台予備校の東大専門校舎がある。受験生や教育機関に対して、「Studyplus」の認知を拡げるうえでも絶好の立地である。同社のオフィスは、白を基調とした明るく開放的な空間だ。社内にはグリーンが配され、本棚には思わず手に取ってみたくなるような書籍が綺麗に並んでいた。この心地よい空間で、社員の方々が伸び伸びと仕事をしている姿が印象的だった。とはいえ、人数はごく限られており、多くの社員はリモートで働いているそうだ。

さて、廣瀬社長の第一印象は、非常に謙虚で穏やかなお人柄である。我々の質問に対して、笑顔で丁寧に回答される姿が印象的だった。今や大学受験生の2人に1人が利用するサービスへと成長した「Studyplus」だが、事業が軌道に乗るまでには、なんと6年にも及ぶ冬の時代があったという。その期間、彼が経営者として背負ってきたプレッシャーの大きさは、我々には計り知れないレベルのものだろう。結果の出ない苦しい期間も、プロダクトの価値を信じ続け、事業に対する信念を貫いてきたからこその今がある。EdTech領域における競争が過熱するなか、「Studyplus」が大きく成長できた理由は、サービスのコンセプトが教育の本質に根差しており、学習支援のあるべき姿を追求してきたことにあると廣瀬社長は考察する。そもそも教育とは、誰のためにあるのか?(=学習者のため)。教育の目的とは?(=学習者一人ひとりの学習が達成されること)。教育とは何か?(=学習の支援)。では、学習者にとっての最大の課題は…?(=学習の継続が難しいこと)。このような本質的な問いに対して忠実に解を求め、まさにそのセンターピンを捉えて生まれたサービスが「Studyplus」なのである。

昨今はメディアにおいても、日本の暗い未来ばかりが語られている。少子高齢化、国際競争力の低下をはじめ、確かに我が国には課題が山積みのようだ。とはいえ、未来を担う若い世代が、希望を持てるような社会であってほしい。そのためには、やはり教育への投資がますます重要になるだろう。若者たちが未来において、もっと自由に、もっと楽しく生きていくために、「学び」は必ず助けとなる。人生を切り拓いていくための知恵や武器を授ける教育の成果は、長い時間をかけて初めて実を結ぶものである。若いうちから学ぶきっかけをつくり、学びに寄り添う「Studyplus」の役割は、今後ますます大きくなっていくだろう。

取材:四分一 武 / 文:アラミホ

メールマガジン配信日: 2023年10月30日